自動車保険は、事故後に保険を使うと、次回の契約更新から保険料が上がることがあります。主な理由は、事故の内容に応じて等級が下がり、事故有係数適用期間の保険料率が使われるためです。ただし、事故に遭っただけで必ず上がるわけではなく、保険を使わず自費で修理した場合や、保険金の支払い対象にならない連絡だけであれば、通常は等級に影響しません。
事故後に保険料が上がる主な仕組み
任意の自動車保険では、事故歴などに応じて保険料を決める「ノンフリート等級制度」が一般的に使われています。等級は1等級から20等級まであり、基本的には無事故で保険を使わなければ、翌年に1等級上がって保険料が下がります。
一方、事故で保険金を受け取ると、事故の種類に応じて翌年度の等級が下がります。等級が下がるだけでなく、一定期間は「事故有」の割引率が適用されるため、同じ等級でも事故前より保険料が高くなる場合があります。
保険を使うと何等級下がる?
等級への影響は、事故の内容によって異なります。一般的な区分は次のとおりです。
| 事故の区分 | 翌年度の等級 | 事故有係数適用期間の目安 |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 3等級下がる | 3年間 |
| 1等級ダウン事故 | 1等級下がる | 1年間 |
| ノーカウント事故 | 事故による等級ダウンなし | 通常は加算なし |
たとえば、現在15等級の人が3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年度は12等級になります。その後、事故有係数適用期間の保険料率が一定期間適用されます。これは計算例であり、実際の保険料は年齢、車種、補償内容、保険会社などによって変わります。
3等級ダウン事故になりやすい例
相手の車や物にぶつけて対物賠償保険を使った場合や、自分の車の修理に車両保険を使った場合などは、一般に3等級ダウン事故に分類されることがあります。
ただし、事故の状況や保険金の種類によって扱いは変わります。車両保険を使う場合も、補償内容によって1等級ダウン事故やノーカウント事故になるケースがあります。
1等級ダウン事故の例
盗難、台風や洪水などの自然災害、落書き、飛び石によるガラスの破損など、契約内容によっては1等級ダウン事故として扱われることがあります。
自然災害でも対象となる範囲は保険契約によって異なるため、「自然災害なら必ず1等級ダウン」とは限りません。保険証券や契約者向けページで、事故の区分を確認してください。
ノーカウント事故の例
人身傷害保険や搭乗者傷害保険だけを使った場合などは、契約内容によってノーカウント事故になることがあります。ノーカウント事故では、事故による等級ダウンはありません。
ただし、同じ事故で対物賠償保険や車両保険も使うと、ノーカウント事故ではなく別の区分になることがあります。どの保険金を請求するかが判断に影響します。
事故に遭っただけで保険料は上がる?
事故の連絡をしただけで、必ず保険料が上がるわけではありません。等級への影響は、原則として事故の結果、保険金を受け取ったか、また受け取った保険金がどの事故区分に該当するかで決まります。
- 事故に遭ったが、保険を使わず自費で対応した場合:通常は等級に影響しない
- 保険会社に事故の相談や連絡をしただけの場合:保険金の支払いがなければ、通常は等級に影響しない
- 保険金を受け取った場合:事故の種類に応じて等級が下がる可能性がある
- 弁護士費用特約など、等級に影響しない特約だけを使った場合:ノーカウントとなることがある
ただし、実際の扱いは保険会社や契約内容によって異なります。保険を使うか迷うときは、先に保険会社へ「保険を使った場合の翌年度の等級と保険料」を確認すると判断しやすくなります。事故の相談をしただけで保険料が上がるとは限らないため、連絡を控えるより、まず補償と費用を確認することが大切です。
保険料が上がるのはいつから?
通常、事故直後から保険料が上がるのではなく、次回の契約更新後から新しい等級と事故有係数が反映されます。事故当年の契約期間中は、原則として事故前の契約条件が続きます。
ただし、契約途中で車を買い替えたり、保険を中途解約して別の契約に変更したりする場合は、手続きの内容によって扱いが異なります。更新案内や保険会社から届く見積もりで、適用される等級と事故有係数適用期間を確認してください。
保険を使うか自費で払うかの判断方法
修理費が少額の場合は、保険を使うことで将来の保険料増加額が修理費を上回ることがあります。一方、修理費や賠償額が大きい場合は、保険を使ったほうが負担を抑えられる可能性があります。
- 相手への賠償額、自分の車の修理費、けがの治療費など、必要な費用を確認する。
- 保険会社に事故の内容を伝え、保険を使った場合の事故区分を確認する。
- 次回更新後の等級、事故有係数適用期間、保険料の見込みを確認する。
- 自費で支払う場合の金額と、保険を使った場合に増える保険料の差を比べる。
- 比較したうえで、保険を使うかどうかを決める。
保険料の増加分は、事故の翌年度だけでなく、事故有係数適用期間中の複数年に及ぶことがあります。そのため、1年分の保険料だけでなく、適用期間全体の差額を確認する必要があります。
事故後に確認する項目
事故後は、保険会社や代理店に次の点を具体的に確認してください。
- この事故は3等級ダウン、1等級ダウン、ノーカウントのどれに当たるか
- 保険を使った場合、次回更新時の等級はいくつになるか
- 事故有係数適用期間は何年になるか
- 保険を使った場合と使わない場合の保険料はいくらか
- 車両保険の免責金額を差し引いた後、実際に支払われる金額はいくらか
なお、相手がいる事故では、保険料だけでなく、示談や賠償手続きにも関わります。自分だけの判断で相手と金額を決める前に、保険会社へ連絡して対応方法を確認してください。
自動車保険は事故後に必ず上がるわけではない
事故後に保険料が上がるかどうかは、保険を使ったか、事故がどの区分に該当するか、現在の等級や契約条件が何かによって決まります。保険を使うと、3等級または1等級下がるケースがある一方、ノーカウント事故なら等級に影響しない場合もあります。
まず保険会社に事故区分と、保険を使った場合・使わない場合の更新後保険料を確認し、その差額と修理費や賠償額を比べて判断しましょう。







