自動車保険の事故歴による影響を、保険会社の変更だけでなくす方法は基本的にありません。事故で保険を使うと、事故の種類に応じて等級が下がったり、「事故有」の割増率が一定期間適用されたりするためです。
ただし、事故があっても保険を使わない、または等級に影響しない「ノーカウント事故」に該当する場合は、事故歴による保険料の上昇を避けられることがあります。
保険会社を変えても事故歴の影響は消えない
自動車保険の等級は、契約者が保険会社を変えた場合でも、一定の条件で引き継がれます。新しい保険会社で契約し直しても、事故歴を申告せずに等級をリセットすることはできません。
保険会社は、前の契約の等級や事故の有無を確認する仕組みを利用しています。そのため、事故後に別の保険会社へ乗り換えても、事故有係数適用期間などが引き継がれるのが一般的です。
事故歴を隠して契約すると、後から契約内容の訂正を求められたり、保険金の支払いに影響したりする可能性があります。保険会社を変える場合も、前の契約の等級と事故の内容を正しく伝えてください。
事故歴の影響を避けられる主なケース
保険を使わずに修理費を支払う
事故が起きても、保険金を請求しなければ、通常はその事故を理由とした等級ダウンは発生しません。ただし、相手への賠償や自分の車の修理費を自己負担する必要があります。
保険を使うか迷うときは、次の費用を比較します。
- 保険を使った場合の、等級ダウン後の保険料増加額
- 車両保険などから受け取れる保険金
- 保険を使わずに支払う修理費や賠償金
保険を使った場合の保険料が複数年にわたって高くなり、受け取れる保険金を上回るなら、自己負担のほうが有利になることがあります。ただし、相手への賠償額が大きい事故や、けがが関係する事故では、金額だけで判断しないことが重要です。
ノーカウント事故に該当する
事故のすべてが等級ダウンにつながるわけではありません。保険を使っても等級に影響しない「ノーカウント事故」があり、代表例としては、契約内容に応じた人身傷害保険や弁護士費用特約などの利用が挙げられます。
ただし、対象となる補償や事故の条件は保険商品によって異なります。特約を使う前に、保険証券や契約している保険会社の案内で、その利用がノーカウント事故になるか確認してください。
事故の種類によって等級への影響は異なる
自動車保険では、事故の内容によって「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」などに分けられます。一般に、相手への賠償や車両保険の使用を伴う事故は、等級に影響する可能性があります。
| 区分 | 一般的な扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 翌年度の等級が大きく下がり、事故有の割増率が適用される | 事故の内容、翌年度の等級、事故有係数適用期間 |
| 1等級ダウン事故 | 翌年度の等級が1つ下がり、事故有の割増率が適用される | 盗難や自然災害など、契約上の事故区分 |
| ノーカウント事故 | 事故がなかった場合と同じように等級が進むことがある | 利用した保険や特約が対象かどうか |
実際の区分は、事故の状況と契約している保険の約款によって決まります。事故の連絡をしただけで直ちに等級が下がるとは限りませんが、保険を使うかどうかを決める前に、担当者へ「この補償を使うと何等級下がるか」「事故有係数適用期間は何年か」を確認しましょう。
保険料の上昇を小さくする方法
事故歴そのものを消せなくても、契約条件を見直して更新後の保険料を抑えられる場合はあります。ただし、補償を減らす方法は事故時の自己負担を増やすため、保険料だけで決めないでください。
- 複数の保険会社で、事故有の条件を含めた保険料を比較する
- 車両保険の有無や免責金額を見直す
- 運転者の範囲や年齢条件を実際の利用状況に合わせる
- 不要になった特約がないか確認する
- 更新後の保険料と、補償を減らした場合の自己負担額を比べる
保険会社によって保険料の計算方法や割引条件は異なるため、乗り換えによって保険料が下がる可能性はあります。しかし、事故有の等級や適用期間まで消えるとは限りません。
事故後に最初に確認すること
- 保険会社へ事故の状況を連絡し、保険を使った場合の事故区分を確認する。
- 次回更新後の等級と、事故有係数適用期間を確認する。
- 保険を使った場合に増える保険料の見込みと、受け取れる保険金を確認する。
- 保険を使う場合と自己負担する場合の総額を比較する。
- 保険を使わないと決めた場合も、相手との示談や補償の扱いを保険会社に確認する。
保険会社への事故連絡と、実際に保険金を請求することは同じではありません。事故を報告したうえで、保険を使うかどうかを相談できる場合があります。
自動車保険の事故歴で影響を受けない方法の結論
保険会社を変えたり、契約し直したりして事故歴の影響を消す方法は基本的にありません。影響を避けられる可能性があるのは、保険を使わずに済む場合や、利用した補償がノーカウント事故に該当する場合です。
まずは保険会社に、事故区分・次回の等級・事故有係数適用期間・保険を使った場合の保険料差額を確認してください。そのうえで、保険金と自己負担額を比較して判断するのが安全です。







