自動車保険で車両保険なしの場合、事故で自分の車が壊れても、原則として自分の自動車保険からは補償されません。ただし、事故相手に過失があり、相手が加入する対物賠償保険の支払い対象になれば、相手の保険から損害の一部または全部を受け取れる可能性があります。
車両保険なしで事故に遭った場合の補償
車両保険なしの場合、自分の車の修理費を補償する主な保険がないため、単独事故や自分の過失が大きい事故では、修理費を自分で負担することになります。
| 事故の状況 | 自分の車の損害 |
|---|---|
| 電柱や壁にぶつかった | 原則として自分で負担 |
| 相手の車にぶつけ、自分の車も壊れた | 自分の過失分は原則として自分で負担 |
| 相手にぶつけられ、相手に過失がある | 相手の対物賠償保険などから補償される可能性がある |
| 当て逃げされた | 相手を特定できなければ、原則として自分で負担 |
| 自然災害や盗難で車が損害を受けた | 車両保険がなければ、原則として自分で負担 |
ここでいう「原則」は、契約している特約や事故の責任割合によって変わる場合があります。車両保険に代わる補償が付いていないか、保険証券や契約内容も確認してください。
相手に過失がある事故なら、車両保険なしでも請求できる
相手の運転が原因で自分の車が壊れた場合は、相手に損害賠償を請求できます。相手が対物賠償保険に加入していれば、通常はその保険から修理費などが支払われます。
ただし、事故では双方に過失があると判断されることがあります。たとえば、修理費が100万円で自分の過失割合が20%なら、計算上、相手に請求できる金額は80万円です。
この計算例は、修理費100万円に過失割合だけを当てはめたものです。実際の過失割合や損害額は、事故状況、道路状況、車の損傷、示談内容などによって決まります。
相手の保険だけでは全額受け取れないことがある
相手に過失があっても、自分にも過失があれば、その割合に応じて受け取れる金額は減ります。また、相手が任意保険に加入していない、相手の保険金額に上限がある、相手を特定できないといった場合は、全額の回収が難しくなることがあります。
相手の対物賠償保険は、相手が法律上の損害賠償責任を負う範囲を補償するものです。自分の車に生じた損害を、事故の原因や責任割合に関係なく補償する保険ではありません。
車両保険なしでは補償されない主な事故
次のような事故では、相手に請求できる相手がいないため、車両保険なしの場合は自分で損害を負担するのが基本です。
- 自分で電柱、壁、ガードレールなどに衝突した
- 駐車場で自分の操作により車を傷つけた
- 相手の車にぶつけ、自分の車も壊れた
- 落書き、いたずら、盗難に遭った
- 台風、洪水、高潮、雹などで車が損害を受けた
- 当て逃げで相手を特定できない
相手がいる事故でも、相手の過失が認められなければ、相手の保険から自分の車の修理費を受け取れない場合があります。
車両保険がなくても利用できる可能性がある補償
車両保険が付いていなくても、契約内容によっては、車の損害以外の補償を利用できる場合があります。ただし、これらは通常、自分の車の修理費そのものを補償するものではありません。
- 対人賠償保険:事故で相手を死傷させた場合の賠償責任を補償します。
- 対物賠償保険:相手の車や物を壊した場合の賠償責任を補償します。
- 人身傷害保険:契約内容に応じて、自分や同乗者のけがによる治療費や休業損害などを補償します。
- 搭乗者傷害特約:事故による搭乗者のけがなどに対して、定額の保険金が支払われることがあります。
- 弁護士費用特約:もらい事故などで相手に損害賠償を請求する際の弁護士費用を補償することがあります。
補償の有無や支払条件は契約ごとに異なるため、名称だけで「使える」と判断せず、保険証券や契約画面で確認してください。
事故に遭ったときに確認すること
車両保険なしで事故に遭った場合も、すぐに自分で示談せず、まず保険会社へ事故の連絡を入れます。相手への請求や過失割合の判断について、保険会社から案内を受けられる場合があります。
- けが人がいれば救護し、必要に応じて救急車を呼ぶ。
- 警察へ事故を届け出る。
- 相手の氏名、住所、連絡先、車の登録番号、加入している保険会社を確認する。
- 車の損傷、事故現場、道路状況を写真や動画で記録する。
- 目撃者がいれば、連絡先を確認する。
- 自分の保険会社へ事故の日時、場所、相手の情報、損害状況を連絡する。
- 修理を始める前に、保険会社や相手側の担当者へ損害確認の方法を確認する。
警察への届出がないと、交通事故証明書を取得できず、保険金請求や相手との交渉で問題になることがあります。軽い接触事故でも、自己判断で解決しないことが大切です。
車両保険を付けない判断が向くケース
車両保険を付けない場合は、事故で車が壊れたときに修理費を自分で用意できるかを基準に考えます。車の価値が低い、保険料を抑えたい、修理できない場合は買い替える資金を準備している、といった場合は、車両保険を付けない選択肢もあります。
一方で、購入直後の車、高額な車、ローンが残っている車、修理費をすぐに支払うのが難しい車では、車両保険なしにすると事故後の負担が大きくなりやすいです。
判断するときは、年間保険料だけでなく、単独事故や当て逃げで車が全損した場合に、修理費または買い替え費用を自分で負担できるかを確認してください。
自動車保険で車両保険なしの場合の結論
車両保険なしでは、自分の車の損害は原則として補償されません。ただし、相手に過失がある事故なら、相手の対物賠償保険などから、過失割合に応じた損害額を受け取れる可能性があります。
単独事故、当て逃げ、盗難、自然災害などにも備えたい場合は、車両保険の有無だけでなく、契約中の特約や補償範囲を確認したうえで、自分で負担できる損害額と保険料を比較して判断しましょう。







