自動車保険の事故歴は、保険金を請求して等級が下がる事故に該当すると、翌年度以降の保険料に影響します。一般的には、3等級ダウン事故なら3年間、1等級ダウン事故なら1年間、「事故有」の割増率が適用されます。
ただし、事故を起こしただけで必ず保険料が上がるわけではありません。保険を使わずに済ませた場合や、等級に影響しない「ノーカウント事故」に該当する場合は、扱いが変わります。
事故歴で保険料が変わる仕組み
自動車保険では、契約者の事故歴を主に「等級」と「事故有係数適用期間」で保険料に反映します。
- 等級:無事故の期間などに応じて保険料の割引・割増を決める区分
- 事故有係数適用期間:事故後に、通常より高い保険料率を適用する期間
一般的なノンフリート等級制度では、1等級から20等級まであり、等級が高いほど割引率も大きくなります。保険を使う事故があると、翌年度の等級が下がるだけでなく、同じ等級でも「無事故」の契約より高い事故有の割増率が適用されることがあります。
事故の種類による保険料への影響
事故後の影響は、事故の種類によって異なります。自動車保険を使う事故は、一般に次の3種類に分けて考えます。
| 事故の区分 | 一般的な等級への影響 | 事故有係数適用期間の目安 |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 翌年度に3等級下がる | 3年 |
| 1等級ダウン事故 | 翌年度に1等級下がる | 1年 |
| ノーカウント事故 | 等級に影響しないことが多い | 通常は加算されない |
上の区分や対象となる事故は保険会社・保険商品によって異なるため、最終的には契約中の保険証券や約款で確認が必要です。
3等級ダウン事故
相手の車や物への賠償、車両保険による修理費の補償など、一般に保険金の支払いが発生する多くの事故は、3等級ダウン事故に該当します。
3等級ダウン事故では、事故がなかった場合より翌年度の等級が3つ低くなります。さらに、事故後の一定期間は事故有の割増率が使われるため、保険料への影響が大きくなりやすい区分です。
1等級ダウン事故
盗難、台風、洪水、落書きなど、契約内容によって車両保険を使った場合は、1等級ダウン事故として扱われることがあります。
この場合は、一般に翌年度の等級が1つ下がり、事故有係数適用期間が1年加算されます。ただし、補償対象や事故の分類は契約によって異なります。
ノーカウント事故
人身傷害保険や搭乗者傷害保険などの保険金を受け取っても、等級に影響しないノーカウント事故として扱われる場合があります。
ノーカウント事故なら、事故がなかった場合と同じように翌年度の等級が進むことがあります。ただし、複数の補償を使った場合は、別の事故区分になる可能性があります。
事故歴があっても保険料が上がらない場合
事故を起こしたことと、保険料が上がることは同じではありません。事故があっても、次のような場合は等級への影響が生じない、または影響が限定されることがあります。
- 保険金を請求せず、自費で修理や賠償をした
- 契約上のノーカウント事故に該当した
- 保険を使ったものの、事故有係数適用期間の対象外だった
一方、自費で対応した場合でも、相手への賠償額や修理費が大きければ、結果的に保険を使ったほうが負担が少なくなることがあります。保険を使うか迷うときは、請求前に保険会社へ「保険を使った場合の翌年度以降の保険料」を試算してもらうと判断しやすくなります。
事故後はどのくらい保険料が高くなるのか
事故後の保険料は、事故の区分、現在の等級、年齢、車種、補償内容などによって変わるため、一律に「何円上がる」とは言えません。
たとえば、同じ3等級ダウン事故でも、現在の等級が高い人と低い人では、事故後の割引率が異なります。また、車両保険の有無や免許証の色、運転者の年齢条件なども保険料に影響します。
仮に現在が20等級で、3等級ダウン事故に該当した場合、翌年度は17等級となり、さらに事故有係数適用期間が設定されます。その後、事故有係数の適用期間が終わっても、等級が元の水準に戻るまでには複数年かかることがあります。
この例は仕組みを説明するための仮定であり、実際の保険料や割引率を示すものではありません。
事故有係数適用期間はいつまで続く?
事故有係数適用期間は、事故の種類に応じて翌年度以降の契約に適用されます。一般的には、3等級ダウン事故なら3年間、1等級ダウン事故なら1年間です。
事故有係数適用期間中は、同じ等級でも無事故の場合より保険料が高くなることがあります。複数年の間に事故が発生すると、適用期間が重なったり加算されたりする場合があるため、事故の回数だけでなく、事故の時期も確認が必要です。
保険会社を変更しても、等級や事故有係数適用期間を引き継ぐ契約が一般的です。保険会社を変えれば事故歴がなくなる、または高い保険料を避けられるとは限りません。
保険を使うか自費で払うかの判断方法
小さな物損事故では、保険金を請求すると将来の保険料の増加額が修理費を上回ることがあります。次の順番で比較すると、判断しやすくなります。
- 事故の内容と、使う予定の補償を保険会社に伝える。
- その事故が3等級ダウン、1等級ダウン、ノーカウントのどれに当たるか確認する。
- 保険を使った場合の翌年度以降の保険料を試算してもらう。
- 保険を使わない場合の修理費・賠償額と、保険を使った場合の自己負担額を比較する。
- 比較したうえで、保険金を請求するか決める。
保険を使わないと決めた場合でも、事故の報告だけはしておくと、後から相手方との交渉が必要になったときに対応しやすいことがあります。事故の報告期限や手続きは保険会社に確認してください。
事故歴を確認するときのチェック項目
保険料への影響を正しく確認するには、次の項目を保険会社や代理店に尋ねます。
- 今回の事故はどの事故区分に該当するか
- 保険を使った場合、翌年度の等級はいくつになるか
- 事故有係数適用期間は何年になるか
- 事故有係数適用期間中と終了後の保険料はいくらか
- 保険を使わない場合の保険料はいくらか
- 現在の契約に免責金額や自己負担額があるか
更新案内に記載された保険料だけでは、保険を使わなかった場合との比較ができないことがあります。事故後の保険料を判断するときは、複数年分の試算を依頼することが大切です。
自動車保険の事故歴と保険料の要点
自動車保険の事故歴が保険料に影響するかは、事故の有無だけでなく、保険金を請求したか、どの事故区分に該当するかで決まります。
3等級ダウン事故は保険料への影響が大きくなりやすく、1等級ダウン事故は影響が比較的小さい一方、どちらも一定期間は事故有の料率が適用されます。保険を使う前に、事故区分と将来の保険料を確認し、修理費や賠償額と比較して判断しましょう。







